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<女性向・18禁>
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時々読みかえしてる割と好きな本のいろんなシーンであれこれ変換してみた。またネタばれ。

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クク・・今日は長いぜ。

すげえひろ赤なシーンもあるにはあるのですが、
「‘静かで、風変わりで、陽気であると同時に無口な、まるで未知の獣のような’青年」とくればここは19歳だろうなあ・・となると主役の45歳(女性)は南郷さんか。鷲巣様って手もあるけどとりあえず。
F・サガン/優しい関係 より 略、三人称・語尾修正あり。

 


  南郷が夕方もどると、アカギは二本の杖に身をささえながら寝室から降りてきて、藤椅子に長々と身をしずめ、二人はウイスキーを飲みながら夕闇がおりてくるのをながめるのだった。彼は家に帰って、青年を見いだすのがうれしかった。が、それ以上ではなかった。彼はどんなふうにも青年に恋してはいなかった。そして奇妙なことに他の状況のもとだったら、青年の美しさはむしろ彼を恐れさせ、ほとんど嫌悪の情を起させただろう。なぜだか知らない。青年はあまりにもなめらかで、ほっそりとやせ、あまりにも完全だったのだ。けっして女性的ではなかったのだが、彼はプルーストの言う、選ばれた種族、を思わせた。
(第三章より)
 

選ばれた種族・・・まあアカギさんの種族はアカギさんひとりでしょうが。
藤椅子とウイスキーというのもアレ読んだあとは全く違う印象になりました。彼もあの日を迎える前にウイスキーを飲みながらひとり日が沈むのをながめたりしていたんでしょうか・・




 アカギはだしぬけに立ち上がって、まるで怪我などしたこともなかったようにやすやすとまっすぐ三歩あるいて、呆気にとられている南郷の前に立ち止まった。
「ごらんのとおり、俺は治りましたよ」
 南郷はそのとき、それまで青年の存在と、青年のなかば不具の状態にあまりにも馴れてしまっていたので、このことを一度も予想したことがなかったのに気がついた。それがいま起こりつつあったのだ。青年はきっと「さよなら」「ありがとう」と南郷に言い、家の角を曲がって姿を消し、彼はもう二度と青年に会うことはないだろう。そう思うと、奇妙な苦痛が南郷の心臓をしめつけた。
「そりゃすばらしいニュースだ」と南郷は弱い声で言った。
「そう思いますか?」
「ああ、もちろんだ。おまえはいったい・・これからどうするつもりだ?」
「あなた次第です」とアカギは静かに言い、また椅子にもどって腰をおろした。
 南郷は深い息をついた。すくなくとも彼はいますぐ出て行こうとはしていない!しかし、アカギの言葉は南郷の気にかかった。いったいどうして、アカギのような、無関心で自由な、いまにも空気の中に溶けこみそうな人間が彼の意思次第なんてことがありえようか?
(略)
南郷はその二分前に青年が立ち去るのかと考えて悲しんだのとおなじほど、青年の居残るという決心にたいして急に腹が立った。しかし、彼にはもう自分の矛盾に驚いている余裕などはなかった。
「アカギ」と南郷は言った。「おたがいにすこし話しあう時がきた」
「その必要はありません」と青年が言った、「俺が残るのがお厭なら、俺は出てゆきます」
「そうじゃないんだ」と南郷はあわてて言った。
「ほかに何があるんです?」
 南郷はぽかんとしてアカギを見つめた。そうだ、ほかに何があるだろう?しかし一方、たしかにそうではなかった。彼は青年が出てゆくのを欲してはいなかった。彼は青年が好きだった。
「世間体がおかしい」と南郷は力なく言った。
 青年は笑いだした、あの、彼をじつに若くする笑いで。南郷はいらいらした、
「おまえが病気で、怪我をしていたあいだは、俺がおまえを自宅に泊めるのはあたりまえだった。おまえは道路にほうり出されて、傷を負い・・」
「じゃあ、俺が歩けると、世間体が悪いっていうわけですか?」
「説明がつかなくなる」
「だれに説明がつかないんですか?」
「みんなにだ!」
「あなたはあなたの生活をみんなに説明してまわるんですか?」
(第五章より)



長い。南アカ好きじゃない方すみませんでした。
ご存知の方もいらっしゃるかと・・この本は1968年発行されたものらしいのですが、生まれる前にすでにこんな感じなんだー(この話に関しては舞台はめずらしくハリウッド)と10代のとき漫然とショックだった。まあ庶民な上にガキだったせいですけどね。フランス女性にたいする印象の多くは彼女の作品からきたもののように思います。あとゴダール。憧れの60年代。
 ちなみにこの頃赤木さんは10代半ばから20代半ば・・・世界中が混沌と激動の波にあった時代に青年期を過ごしてた訳ですね・・かなりイメージに沿うような。




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2007年6月開設。

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