無理

矢理あげた・・
書いてるうちにひろ赤ひろになってるような気がしますがそこはいいか

赤ひろ赤を期待されてた方がいらっしゃいましたらごめんなさいです
でもそう見えなくもないのかな・・というかそれがもうよくわからんのよ

具体的な性描写はありませんがそういう雰囲気はありますのでご注意ください








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このタイミングでこの男が訪ねてくるとは随分ツイている。
ひろゆきは久しぶりに逢えた男が向かい側で自分と同じように毛布にくるまっている姿に胸が一杯だった。まるでふたりで遭難でもしたかのようではないか・・どうしても頬がゆるんでしまう。


暖かな日から一変、その日は冬に逆戻りしたような寒さだった。
赤木は何度か訪れ見知ったこの場所でくつろぐうちに次第に身体が冷えてくるのに気づいた。
寒い。部屋の中だというのに。寒かねえかとつぶやく赤木にひろゆきは押入れから毛布を引っ張り出しそっと羽織らせた。
「実は・・止められてしまって」
ひろゆきは向かいで毛布にくるまり直すといくぶん気まりの悪い様子で切り出した。
「次バイト代入るの来週で・・それまではこの状態で我慢するつもりでいたんです」
我慢という割りにはどこかそわそわと嬉しそうな様子のひろゆきに赤木は半ば呆れ顔だった。ひろゆきの真意は微妙にずれたところにあるのだが赤木がそれを知る由もない。
ひろゆきは赤木がどちらかというと寒がりなのを知っていた。冬の日の朝など暖房で部屋が十分暖まるまで決して布団から出ようとしなかったことをよく覚えている。それはひろゆきにとってこの上なく都合が良かった。それは目が覚めても少なくとも数分間は一緒に寝ていられるということを指していた。ちょっと目を離した隙にいなくなってしまう気ままな男がじっとしている保障などそうそうはない。


はたして赤木はひろゆきほどにはこの状況を楽しんではいなかった。丁寧に淹れられた熱いコーヒーを飲み残り数本の煙草を吸い終えると、目線を落とし控えめにしてはいるものの内心嬉しくてたまらないといった気味の悪い様子のひろゆきにかまわず尋ねた。
「いくらだ？」
札入れを探り、紙幣を抜き取る。
「払って電話すりゃすぐ使えんだろ」
「そんな」
ひろゆきはあわてて首を振った。状況が打開されるのが惜しいなどということでなく、そんなものを受け取るという行為が嫌だった。これでも一応自活しているつもりなのだ。
「宿賃だと思えばいい・・」
赤木は本当にそう思っているようだった。
「勝手に押しかけといて言うのも何だが部屋の中でまでこんなものかぶってるんじゃ窮屈でかなわねえ」
「・・すみません。」
当然といえば当然の反応かもしれなかった。ひろゆきは肩を落とした。
「・・でもただいただくわけには・・何か、おかえしできるといいんですけど」
しかし今の財布の中身からしてその内容はほとんど限られている。
「ほー・・」
せいぜい備蓄してある乾麺や缶詰の類か、あるいはとうつむき考えあぐねるひろゆきの前で赤木は微かに目を細めた。




「・・・ストリップ」
「は」
「が、見てえな、ひろの」
「・・・・」
ストリップ・・てあの、とひろゆきはどもった。
「お姉ちゃんがステージで踊りながら服を脱いでって裸になるやつだよ。あれ」
赤木は普通に説明し、灰皿を手に毛布をひきずりながらひろゆきの前を横切ってベッドまで行くとそのまま普通に座ってしまった。
ひろゆきの視線は座った赤木に呆然と向けられている。
「・・・ほんとに見たいですか・・？」
「見てえな」


しまった・・完全にはめられた。
宿賃だと言われた時そのまま受け取ればよかったのだ。赤木にとっては単純に自分が寒いのが嫌だから金を出す、というだけのことだったはずだった。
しかしこの男がこう言い出したからにはもう絶対引かない。そのことをひろゆきは男が寒がりであること以上に身に沁みて知っていた。
よりによってこの男にこんな形でつけこむ隙を与えてしまうとは・・後悔しても遅い。


「・・あの、ほんとにそんなの」
「今更だ、ひろ。はやくしな」
背を壁に預け赤木は新しい煙草の箱から一本取り出し口元に咥えた。



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後半に続きます